Making of ABAL@EDGEof

2018年10月12日に行われたUT-Virtual定例会は株式会社ABAL様にご招待いただき、渋谷のEDGEofにて開催されました。はじめに懇親会とABAL:DINOSAURの体験会、その後ABALのCEO尾小山良哉氏が「Making of ABAL」と題した講演会をしてくださいました。

第1部:懇親会&体験会

懇親会

懇親会ではたくさんの美味しい料理を用意していただきました。
食事を楽しみながら、ABALの方々に普段聞けないような貴重なお話を伺うことができ、とても楽しい時間を過ごしました。

体験会

また懇親会と同時進行でABAL:DINOSAURの体験会が開催されました。ABAL:DINOSAURは2018年8月に行われたVRクリエティブアワードで賞を受賞するなど大きな話題を読んだVRコンテンツです。本コンテンツの特徴は広い空間で複数人のVR体験を同時にできるフリーロームVRストーリーテリングの完成度の高さなどが挙げられます。
部員の多くがフリーロームVR初体験で、声を上げながら楽しんで体験をしていました。筆者は2回目の体験でしたが、途中床が抜けている場所を歩いているときは落ちないかと不安になったり、恐竜が迫ってきたときには思わずしゃがんでしまいました。体験時間は10分から15分ぐらいでしたが、体感ではもっと短く「もう終わってしまったの?」と思うほど体験に没入していました。

第2部:講演会”Making of ABAL”

(講演してくださったABALのCEO尾小山氏)

講演ではABALの歴史、ABAL:DINOSAURをはじめとしたABALコンテンツの作り方やABALの描く未来について語ってくださいました。

時間と体験

ABALではコンテツをつくる際に「時間で管理するシナリオ」と「体験で管理するインタラクション」という相反する要素の割合を重視しているそうです。前者の「時間で管理するシナリオ」とは、360度動画などのユーザー側の自由度が低い代わりに時間で体験を管理するコンテンツのことで、後者の「体験で管理するインタラクション」はユーザー側の自由度が高いゲームなどを指しています。
ABALはこの中間を目指しているとのこと。コンテンツを作る際には、ユーザーがこの部分でマックス・ミニマムでどの程度時間を使うかなどPDCAを繰り返し心地よい体験を作り上げています。

バーチャルだけではなく現実も

ABAL最大の特徴の「現実世界との同期」についても語ってくださいました。展示予定スペースを会社内に作り、繰り返しデバックをします。準備を入念にして実際の展示会場に行くそうですが、会場が想定していた寸法と異なるという事態も発生するそうで、その場合はその場でズレを直す作業が入るそうです。

またコンテンツに登場する蜘蛛の巣や床の質感などは身近にあるものを使って再現しており、ハプティクス系のデバイスを開発するのではなく「アナログで頑張っている」とおっしゃっていました。尾小山氏はハプティクスよりも音のほうが伸びしろがあると語っており、体験をコントロールする存在として音に注力しているそうです。

ABALの描く未来

2020年に迫った第5世代移動通信システム(5G回線)を絡めて、ABALのビジョンについて語ってくださいました。現在ABALではWi-Fiベースで通信をしているので、5G回線になることで同時に体験可能な人数が大きく増えるそうです。それを見越してバージョンアップし、新作を今年中にリリースするそうです。

今、人間の認識やコミュニケーションは「文字→映像→体験コミュニケーション」という流れで変わる節目にある、と尾小山氏は語ります。現在は体験が場所に紐付いていますが、ここにパラダイムシフトが起こるのです。体験をパッケージ化することで「一緒にいる=同じ場所にいた」から「一緒にいなかったのに一緒にいた」へと変わります。このように体験をハッキングして流通できると述べていました。

今回のお話は普段VRをはじめとした体験型のコンテンツを作っているUT-virtual部員にとって目から鱗が落ちる貴重なお話でした。これからより一層頑張って制作に取り組みたいと思います!

最後に今回講演及び体験会を開催してくださったABALの皆様、会場を貸してくださったEDGEofの皆様に厚く御礼申し上げます。

 

(文:トドロキ 写真:Koshin Ide,トドロキ)

 

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お知らせ

第69回東京大学駒場祭

 – 日時
2018年11月23日(祝)9時~18時
2018年11月24日(土)9時~18時
2018年11月25日(日)9時~17時(最終日は終了時間が異なります)

 – 場所
東京大学駒場キャンパス12号館1階1212教室

 – 企画名
『Fly Fly Fly』
『UT-virtual個人作品展』