木野瀬友人氏 講演会

2018年12月7日(金)のUT-Virtual定例会は、東京大学駒場第一キャンパス5号館525教室にて、デジタルハリウッド大学院の木野瀬友人氏をお招きし、「ニコニコとデジタルヘルスラボとプレイフルヘルス」と題して、ご講演いただきました。

 

多岐に渡って幅広くご活躍の木野瀬さんの講演は3部構成で行われました。初めは「niconicoの話」からでした。

木野瀬さんは株式会社ニワンゴ(現在、株式会社ドワンゴにて事業継承)の創業取締役として、ニコニコ動画とその周辺サービスの開発に携わってこられました。ニコニコ動画は動画のコメント、タグ付け、広告などを運営ではなく視聴者であるニコニコユーザーが作っていくことが特徴の動画共有サイトです。

UT-virtualに所属する私たち学生の世代は、運営とユーザーがいわゆるコール・アンド・レスポンスで呼応しながらコンテンツを作り上げていく場所を中学高校の多感な時期に既に与えられていた最初の世代かもしれません。

なかでも木野瀬さんが作り上げられたニコニコ市場は、ニコニコ動画・ニコニコ静画・ニコニコ生放送・ニコニコ大百科でユーザーが関連商品を自由に選び商品広告を貼り付けることが出来る機能で、ニコニコ市場を経由してユーザーが商品を購入すると、ニコニコ動画の運営に収入が入ってくるという画期的なシステムです。

実は筆者もニコ動がメンテナンスに入るたびに絶望に陥るニコニコプレミアム会員です。今では日本の代表的な動画共有サイトとなったニコニコ動画のサービス立ち上げ当時の裏話など、貴重なお話を一ファンとして心から嬉しく思いながら拝聴しました。

続いてデジタルヘルスラボ、そして「プレイフルヘルス」についてお話しいただきました。木野瀬さんはデジタルハリウッド大学院で「デジタルヘルス」について研究をされています。混同してしまいがちな「医療ICT」と「デジタルヘルス」の違いや、歩けば歩くほど健康にお得になるアプリ「おちゃないGO」、そして「緑内障VR簡易検査ツール」等のお話には、部員はもちろん、サークル見学にいらして下さった見学者の皆さまからも質問が飛び、一同興味津々でした。

 

今回、お話をうかがって、デジタル技術を活用して医療の質を上げたり、病気を未然に防ぐ事で医療費を抑制したり、誰もが安心して安価に医療を受けられるようなシステムを構築する事の必要性を改めて感じました。医薬品で内科学的に、また医療機器や手術で外科学的に病気を治療していく事の他に、これまで十分に解決できずにいた事をデジタル技術で社会学的に解決していくという事について、超高齢化社会に向かう今、真摯に受け止め社会全体で考えていかなくてはならないと思いました。貴重なお話を賜り、誠にありがとうございました。

講演終了後、木野瀬さんのご希望で、UT-virtualの部室をご見学いただきました。そして先月の駒場祭のメインコンテンツFlyFlyFlyを体験していただき、開発チームで筐体製作を担当した駒場代表より、ご説明をさせていただきました。頂いた貴重なご意見は、さらなる改良と進化に繋げて参りたいと存じます。

常に数年後、数十年後を見据えて、従来にはなかった新しいコンテンツや、新しい仕事を世の中に送り出してこられた木野瀬さんから頂いたお言葉を糧に、私共も将来自分たちに何が出来るのかと問いかけながら、今は真摯に学業と開発に励みたいと決意を新たにいたしました。改めましてこのたびは本当にありがとうございました。

(文:Mari Kotani 写真:Mari Kotani)