はじめに
7月5日、mercari R4D xRチームの栁澤慧氏にお越しいただき、メルカリのAR分野における台頭までの9ヶ月間について時系列順にご紹介していただきました。
mercari R4Dとは
mercari R4Dとはフリマアプリ「メルカリ」の運営会社「株式会社メルカリ」の、社会実装を目的とした研究開発組織です。R4DとはResearch・Design・Development・Deployment・Disruptionを意味します。現在はAI・VR/AR・量子コンピューティング・ロボティクス・デザインをメインに研究しています。
どうやって!? メルカリがAR分野で台頭できた9ヶ月間を時系列でご紹介
’18年
11月・12月
ARスマートグラス「Vuzix Blade」を使用した実証実験を開始。
指差しで類似商品を検索し、サムズアップでお気に入り登録するというもの。
’19年
1月
CES2019にて実際に動作しているデモを出展。
5月
Vuzix App Storeにてリリースした「Mercari Lens」のβ版(https://www.vuzix.com/appstore/app/mercari-lens)を世界で最も大きいARイベントであるAWE USA2019で出展。
6月
KDDI 5G SUMMITでnrealのスマートグラス「nreal light」を活用した「Mercari Lens」を展示。
5Gの特性である高速大容量・低遅延を生かした、スマートグラスとスマートグラス、またスマートグラスとスマートフォンの間で見えるものを共有するというもの。同じ商品を見ながら買い物をすることを想定しているそうです。
質疑応答:ARのこれから
・ハードウェアについて
VUZIX社が出すであろう、スマホと連携して操作するようなものがスマートグラスが最初に一般普及する形と考えているそうです。ただ、一般への普及率の高さという点でApple社のスマートグラスに期待し、現在は知見の獲得に注力しているそうです。
また、共同でリリースすることによる自社の宣伝効果も狙いたいとのことです。
・ソフトウェアについて
これからARで稼いでいこうと考えているなら産業向けもしくはポケモンGOのようなゲームがオススメとのことです。メルカリではお気に入り登録をするために必要なアプリへのログインをスマートグラスでどうやって実現するか、いかに従来よりスマートグラスの方が便利な環境まで持っていくか、またプライバシーや店の商品との兼ね合いが課題となっているそうです。
参考〜スマートグラス「Focals」のメリットデメリット〜
・メリット
音声入力可能なタスク機能が便利。
プレゼンテーション機能でカンペを見ながらプレゼン可能。
・デメリット
網膜照射なので歩くときにブレてしまう。
Alexaを使いすぎるとすぐ熱くなり、パフォーマンスが落ちる。
重心が前にあるため滑り落ちやすい(Vuzix社などは後ろに重心がある)。
最後に
今回の講演では企業ラボでの企画・開発・出展の流れから実際のハードウェアの使用感まで様々なことを教えていただきました。
UT-virtualでARをやっている人はまだまだ少なかったので、今回を機に興味を持った人は多いのではないでしょうか。
栁澤さま、大変貴重なお話ありがとうございました!
mercari R4D公式サイト:https://r4d.mercari.com/
栁澤氏のTwitter: https://twitter.com/ash_yanagisawa
(文・写真:LAKU 構成:Mari Kotani)